戸建て住宅の施工管理って何をしているの？求人の年間20棟以上担当のリアル

戸建て住宅の施工管理、年間20棟以上の担当は可能なのか？

戸建て住宅の施工管理の求人を見ると、1人あたり年間20棟〜30棟、多い場合は50棟を管理する内容がよく見られます。

「そんなに多くの物件を1人で管理できるのか？」と疑問を抱く方も多いでしょう。現在の仕事量を基準にすると不可能に思えますが、実際には規模が小さいことや、職人任せにしている部分が多いのが理由です。

では、職人に任せた場合、施工管理者は現場で何をしているのでしょうか？そのリアルを解説します。

木造住宅の施工管理は、大規模建築とは異なり、現場に常駐することはほとんどありません。主に職人とのコミュニケーションや進捗確認が中心であり、効率的に複数の現場を管理できる仕組みが整っています。

しかし、ハウスメーカーの施工管理はこれだけでは終わりません。施工管理だけでなく、営業に近い業務も多く発生します。例えば、お客様からの要望や変更の対応を現場で直接受けることも多く、これが「半分営業」と言われる所以です。複数の現場でこの業務が同時進行するため、かなりの負担がかかります。

さらに、条件として以下が絡んでくると現場はさらにシビアになります：

• 年間担当棟数: 30棟

• 1棟あたりの粗利: 900万円

• 年間総粗利: 2億7,000万円（粗利30%分配の場合、1人あたり540万円）

ざっくり計算しても、年収500万円を達成するには30棟以上の管理が必要です。営業歩合や経費を含めると、本当に粗利が確保できているのか疑問に感じることもあります。

例えば、職人が進捗状況を写真で共有し、それをもとに施工管理者が材料を手配することが一般的です。

また、上棟や外壁の納まり確認といった重要なタイミングでのみ現場を巡回するスタイルが主流です。これにより、効率的に複数の現場を管理できる仕組みが構築されています。

しかし、移動が多い戸建て住宅の現場監督では、電話でのコミュニケーションが主流であり、これがミスを生む原因にもなります。建築用語が分かる職人さんとのやり取りはスムーズでも、お客様や他の関係者に正確に意図を伝えるのは一筋縄ではいきません。

特に、多くの関係者が絡む状況ではミスが起こりやすく、施工管理者には「整理整頓力」と「トラブル解決力」が求められます。

木造住宅の施工管理は、大規模建築とは違い、効率的な進捗管理と職人との連携が最重要です。年間20〜30棟、多い場合は50棟を管理するためには、マルチタスクで多方面の業務を処理する能力が求められます。

「何もしていないように見える」施工管理者でも、実際は現場のトラブルを解決に導き、スムーズな進行を支える重要な役割を担っています。この特殊な働き方が、戸建て住宅の施工管理の特徴と言えるでしょう。

戸建て住宅の施工管理は、現場に常駐する大規模建築とは異なる独自の業務スタイルを持っています。職人との連携をベースに効率的に複数の現場を管理しながら、重要なタイミングで現場を巡回し、トラブルを解決する力が必要です。

施工管理は決して楽な仕事ではありませんが、その分得られるやりがいも大きい仕事です。職人やお客様との関係を築きながら、建物を完成させる喜びを感じられる業務と言えるでしょう。